OMSとは?ITで使われるシステムの意味・役割をわかりやすく解説


“OMS”って、コラムとか資料でよく見るけど、どういう意味なんですか?

受注管理システムのことです。受注から出荷までを一括で管理できる便利なITシステムです。
OMSとは、Order Management System(受注管理システム)の略称で、EC業界や物流、小売の現場で広く使われている業務系システムの一つです。
特に、複数の販売チャネルがあり、在庫を一元的に管理する必要がある企業にとって、OMSの導入は業務効率化のカギとなります。
とはいえ、「OMS」、「WMS」、「EMS」など似た略語も多く、「それぞれ何が違うのか分からない…」という方も多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、「OMSとは何か?」という基本から、ITシステムとしての機能・役割、他の業務システムとの違いまでを、図や事例を交えてわかりやすく解説します。
ブログ監修者

助ネコ事業部(ECサポート担当)
運営実績18年以上の信頼!助ネコ事業部では、2007年2月1日のシステム提供開始以来、18年以上にわたり全国のネットショップ様にシステム導入支援と運用サポートを提供し、業務効率化と成長を支援しています。
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OMSとは?基本の意味

OMS(Order Management System)とは、商品やサービスの「受注」から「出荷」までの流れを一元的に管理する「受注管理システム」です。
ECサイトや実店舗、アプリなど、さまざまな販売チャネルからの注文をまとめて管理し、在庫確認や発送などを効率的に処理することができます。
近年、顧客のニーズはますます多様化し、販売経路も複雑になっています。
そんな中で、受注処理や出荷対応のスピードが年々重要になっています。
OMSは、こうした業務を自動化・最適化することで、業務の負担を減らし、サービスの質を向上させるお手伝いをします。
OMSの主な役割

OMSの主な役割は大きく分けて4つあります。
1. 受注情報の一元管理
実店舗やEC、電話など、さまざまなチャネルからの注文情報を一つのシステムでまとめて管理します。二重処理や確認漏れを防いで、業務の質とスピードが向上します。
2. 在庫管理の最適化
在庫情報をリアルタイムで確認できるため、適正在庫を維持し、在庫切れを防ぐことができます。倉庫や店舗など、複数の拠点の在庫状況もまとめて管理できます。
3. 配送業務の効率化
注文内容に合わせて、最適な出荷元や配送方法が自動で割り振られ、スムーズな出荷処理を実現します。配送状況も追跡できるので、配送ミスや遅延のリスクを最小限に抑えます。
4. 顧客対応の迅速化
お客様からの問い合わせに対して、注文履歴や出荷状況を即座に確認・共有できるため、対応時間の短縮と対応品質の向上が図れます。
OMS、EMS、WMS何がどう違うの?

「OMS」「EMS」「WMS」といった略語、一見似たような言葉に見えますが、それぞれが担当する役割や機能は異なります。
これら3つのシステムの違いを理解することで、業務に最適なシステム選定が可能になります。
OMS(Order Management System)|受注管理システム
役割:受注情報の一元管理と処理の自動化
OMSは、ECサイトや実店舗などから入る「注文」を受けて、在庫確認・出荷指示・請求処理など、注文に関する一連の業務を管理・自動化するシステムです。
販売チャネルが多い企業では、OMSによって受注情報を集約し、業務効率を高めることができます。
主な機能例
- 注文の受付・確認
- 在庫引き当て
- 出荷指示・状況追跡
- 顧客への通知
EMS(Execution Management System)|取引執行管理システム
役割:トレーディングのスピード・正確性・戦略性を高めるための実行ツール
EMSは、金融取引の実行を支援するプラットフォームです。
そのため、EMSはOMSやWMSとは全く異なるシステムだと考えて良いでしょう。
ただし、名称が似ているため、混同しやすい点には注意が必要です。
EMSは、トレーダーによる注文発注、アルゴリズム取引、リスク分析、マーケットデータのモニタリングなど、トレーディング業務を効率化・高速化する多機能を備えています。
主な機能例
- 注文の発注・管理
- アルゴリズム取引の実行(例:VWAP・TWAP)
- マーケットデータのリアルタイム表示
- 損益やポジションの管理
WMS(Warehouse Management System)|倉庫管理システム
役割:在庫・倉庫内作業の最適化
WMSは、倉庫内の在庫管理や作業指示を担うシステムです。
入荷から棚入れ、ピッキング、出荷までの各工程を効率化・可視化し、在庫の正確性や作業スピードを高めます。
OMSと連携することで、受注内容に応じた出荷作業を自動で指示することが可能になります。
主な機能例
- 在庫管理(ロケーションごと)
- ピッキング・梱包指示
- 入出庫処理
- 作業進捗の可視化
「OMS」「EMS」「WMS」3つの違いを表で整理
以下は、業務システムでよく使われる「OMS」「EMS」「WMS」のそれぞれの役割を比較した表です。それぞれの目的や管理対象は異なります。
略称 | 名称 | 主な役割 | 管理対象 |
---|---|---|---|
OMS | Order Management System | 受注処理の一元管理と自動化 | 注文・在庫・出荷指示 |
EMS | Execution Management System | 金融取引の発注・執行を支援するプラットフォーム | 注文執行・マーケットデータ |
WMS | Warehouse Management System | 倉庫内の在庫・作業を効率的に管理 | 在庫・出荷作業進捗 |
EMSはECではなく、証券・金融業界で取引のスピードと正確性を支えるためのシステムです。
一方、OMSやWMSは、主にECや物流現場で活用されます。
それぞれのシステムは業界や業務によって使い分けられており、目的に応じて導入すべきシステムが異なります。
自社の業種や業務フローに応じて、必要なシステムを選定・組み合わせていくことが、効率化とサービス向上の鍵となります。
OMSはなぜ必要?OMS導入の重要性

近年は、受注から出荷までの業務はかなり複雑化しています。
こうした環境下で、OMSの導入は、もはや一種の選択肢ではなく、「業務効率」と「顧客満足度」を両立させるために必要不可欠な要素となっています。
以下では、OMS導入がなぜ重要なのか、その主な理由を項目ごとに解説します。
手作業による運用の限界を打破するため
- ECサイト
- 実店舗
- 電話など
多岐にわたる販売チャネルを運用する企業では、各受注情報が、それぞれの管理画面や複数のシステムに分散しやすくなってしまいます。
結果として、情報をまとめるために多くの手作業が必要になり、作業時間や工数が増えてしまいます。
OMSは、ばらばらになった受注情報や業務を一つのシステムでまとめ、手作業の手間をなくすことができます。
ヒューマンエラーのリスクを削減できる
受注情報の転記やデータの編集、出荷依頼を手作業で行っていると、どうしても入力ミスや確認漏れが起こりやすいです。
OMSでは、これらの作業をシステムが自動で処理するので、ヒューマンエラーが減り、業務の質がアップします。
複数チャネルからの受注に柔軟に対応できる
お客様との接点が複数にわたる今、オンライン注文や実店舗での購入、電話受付など、さまざまなルートから受注が入ります。
OMSはこれらのチャネルを一つのシステムでまとめて管理できるので、各ルートごとの情報のズレや対応の遅れを防げます。
在庫・出荷の管理を最適化できる
複数の倉庫や店舗の在庫管理は、手作業やバラバラなシステムだととても面倒です。
OMSは在庫状況をリアルタイムで確認でき、在庫を有効に活用しつつ、出荷のスピードもアップできます。
顧客対応のスピードと精度が向上する
OMSは、注文や配送の状況をリアルタイムで把握できるので、お客様からの問い合わせにも素早く、正確に対応できます。
結果として、顧客満足度が高まり、リピート率の向上やクレーム削減にもつながります。
データ連携と業務スピードが大幅に向上する
OSMを導入することで、各部門やシステム間でのデータのやり取りがなくなり、リアルタイムで業務がスムーズに連携するようになります。
意思決定が速くなり、リードタイムの短縮や市場への対応力が強化されます。
「従来の業務」と「OMS導入後」の違いを図で比較!

上記の図は、受注から出荷までの業務フローにおいて、OMSを導入した場合と、従来の手作業によるプロセスとの違いを比較したものです。
従来の業務では、
- 受注確認
- CSVの確認・加工
- データ抽出や編集
- 出荷処理・出荷依頼
など、多くの工程を手作業で行う必要があり、ミスや遅れの原因になっていました。
その一方で、OMSを導入すれば、これらの工程を一つのシステムでまとめて自動化できます。
OMSを使うことで、業務のスピードが大幅にアップし、作業の負担が減るとともに、ヒューマンエラーも減らすことができます。
OMSの導入メリット・デメリット

受注から出荷までの一連の業務を効率化・自動化できるOMSは、EC事業者にとって有効なツールです。
しかし、導入にはメリットだけでなく注意すべきデメリットもあることを認識しておきましょう。
ここでは、OMSを導入することによって得られるメリット・デメリットについて解説します。
OMS導入のメリット
業務の一元管理と効率化
これまで複数のファイルやシステムを使っていた受注業務を、OMSが一つにまとめて管理します。
- 受注確認
- 在庫確認
- 出荷指示
などのフローが自動化され、手作業で大幅にかかっていた時間を短縮できるようになります。
ヒューマンエラーの削減
手作業で行っていたデータの入力や加工などが不要になり、ヒューマンエラーの発生率が大きく減少します。
ミスが減ることで、トラブル発生のリスクを抑えることができ、結果的にミスの処理やクレーム対応にかかる時間と手間を削減し、作業の効率化に繋げることができます。
リアルタイムな在庫・出荷状況の把握
OMSは在庫、出荷の状況をリアルタイムで確認できるため、販売機会の損失を防ぎ、最適な在庫運用が可能になります。
複数チャネルの注文に対応可能
ECサイト、店舗、電話など、さまざまなチャネルからの注文を一つのシステムで一元管理できるので、注文の重複や各チャネルからの情報が分散してしまうことを防ぎ、
誤配送や在庫管理ミスをなくすことができます。
顧客満足度の向上
注文状況や出荷予定をリアルタイムに確認できるので、顧客からの問い合わせにスピード感をもって正確に対応でき、顧客対応にかかる時間や質が改善されます。
OMS導入のデメリット
導入コストがかかる
基本的には初期費用やランニングコストがかかり、場合によっては「カスタマイズ費用」や「導入支援のサポート費用」などのコストがかかります。
OMS導入に大きなコストが割くことが難しい中小企業にとっては、OMS導入に高いハードルを感じてしまう可能性があります。
運用の定着までに時間がかかる
OMSの導入にあたっては、現場の業務フローを見直すところから始まります。
そこから新しい業務フローを整えて、システムを使いこなせるように現場教育を行う必要があります。
特に導入したての段階では、作業ミスが発生したり、逆に時間がかかってしまう可能性もあるので、徹底した教育とフローの整備が重要になります。
自社に合った設計が必要なケースがある
カスタマイズ性があまり無い、汎用的なOMSでは、自社の業務フローにマッチしない場合もあります。
カスタマイズの必要性がある可能性や、それに関するコストやスケジュールも予め認識しておくようにしましょう。
過剰な機能による非効率化の可能性
「便利そう」と思って、多機能すぎるOMSを導入すると、自社の業務に本当は必要のない機能が混在してしまい、かえって操作が難しくなってしまうこともあります。
そのため、"自社にとって必要な機能は何か"ときちんと検討し、適切な機能が揃ったOMSを選ぶことが重要になります。
代表的なOMS「5選」を紹介

ここからは、代表的なOMS(受注管理システム)を5つご紹介します。
それぞれの機能・料金・おすすめ業種を比較しながら、自社に最適なシステムを見つけてみてください。
システム名 | 月額料金 | 特徴 | おすすめの業種 |
---|---|---|---|
1.助ネコEC管理システム | 2,100円~ | シンプルで使いやすいEC向け受注管理システム | 中小規模EC・個人事業主 |
2.ネクストエンジン | 3,000円~ | 複数ECモール・カートを一元管理 | ECサイト運営者 |
3.アラジンオフィス | 要問い合わせ | BtoB向け、卸売・メーカー向け | 卸売・メーカー |
4.CROSS MALL | 10,000円~ | 在庫同期・売上データ分析が可能 | 中小ECサイト |
5.スマレジ | 5,500円~ | POSレジ連携、店舗とECの在庫管理 | 実店舗+EC販売 |
1. 助ネコEC管理システム

- 月額料金:2,100円~
- 特徴:PC初心者でも簡単に操作できる受注管理システムです。受注管理、商品登録、在庫管理、発注管理など、ネットショップ運営に必要な機能を提供しています。オートロボ機能やAI機能により、受注処理の自動化や顧客対応の効率化が可能です。
2. ネクストエンジン

- 月額料金:3,000円~
- 特徴:複数のECモールやカートを一元管理できるシステムです。受注管理、在庫管理、商品登録、決済サービス連携、送り状発行、倉庫連携、POS連携、基幹システム連携、メール送信、発注・仕入管理、アプリによるカスタマイズ、メールマーケティングなど、多彩な機能を備えています。
3. アラジンオフィス

- 月額料金:要問い合わせ
- 特徴:BtoB向けの受注管理システムで、卸売業やメーカー向けに特化しています。発注管理、在庫管理、請求管理など、BtoBビジネスに必要な機能を一括管理できます。
4. CROSS MALL

- 月額料金:10,000円~
- 特徴:複数のモールや自社ECサイトの在庫を同期し、販売機会の損失を防ぎます。売上データの分析機能も充実しており、経営判断に役立てることができます。
5. スマレジ

- 月額料金:5,500円~
- 特徴:POSレジと連携できる受注管理システムで、実店舗とECサイトの在庫や売上を一元管理できます。店舗販売とオンライン販売を並行して行っている事業者に適しています。
まとめ:OMSの役割を理解して、自社の業務に活かそう!

OMS(受注管理システム)は、受注から出荷までの業務を効率化し、ミスを減らすために欠かせないツールです。
特にECや複数のチャネルでの販売を行う企業にとっては、業務全体を一元管理できる点が大きなメリットです。
導入にはコストや準備も必要ですが、自社の業務に合ったシステムを選べば、効果は非常に大きくなります。

たとえば「助ネコ」は、使いやすさと導入のしやすさに定評があり、初めてのOMS導入にも最適なのでオススメです!
複数店舗の注文管理や出荷処理を効率化したい方は、ぜひ一度チェックしてみてください。