世界で一番売れているロボット掃除機 ※1「ルンバ」 を展開アイロボットジャパン合同会社
「私たちが助ネコを選んだわけ」

インタビュー日:2022/10/31 公開日:2023/03/28

世界シェアNo.1 ※1 のロボット掃除機、米iRobotの「ルンバ」。その日本法人で、国内で「ルンバ」の販売を展開するアイロボットジャパン合同会社様(以後アイロボットジャパン)が、ネット通販の受注処理の自動化を目的に、助ネコEC管理システムを導入しました。助ネコの導入から丸1年。さまざまな経緯を経て、助ネコを選んだ決め手、導入後の成果について、アイロボットジャパン 情報システム部 平野智士様、宮本雅泰様、張立柱様にお話を伺いました。


助ネコ導入の経緯。システム探しで苦労したこと

情報システム部 部長:平野 智士様
情報システム部 部長:平野 智士様

佐藤:本日は助ネコを導入して1年経ちましたので、感想のようなお話を伺えればと思います。アイロボットジャパン様の事業内容は、ルンバの販売および保守点検ということですが、今平野様はどのようなお仕事をされているのですか?

平野:私自身は情報システム部です。社内の他部門のメンバーと一緒に、アイロボット日本法人としての全体的な取りまとめや、USの本社との連携など、マネジメントがメインです。

佐藤:助ネコにご連絡いただいた経緯をお伺いします。複数のネットショップ一元管理システムを比較検討されていたと伺いましたが、実際、どのような経緯だったのですか?

平野:過去に私は、通信販売の大手にいたことがあり、注文から出荷まで自動化したいというアイディアがありました。しかし、過去の経験をベースに進めると、どうしても発想が大規模になってしまう。全部スクラッチ(ゼロから開発)で作ることは、コスト面から考えられない。そこで、世の中にあるサービスの中からで、注文から出荷まで自動化できるシステムを探していました。

5、6年前に2つの候補(一元管理システム)が上がり、まずは1つにアプローチして試してみたんですが、想定外のことがいろいろ出てきました。自動で出荷指示データの送信ができるとのことでしたが、実際には全てが自動化されるわけではなく、手動で対応しないといけないことがぽろぽろと出てきたり…。そうなると、逆にオペレーションが複雑化して、現場の作業が大変になるのでは? と思いました。

その時RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)も試してみましたが、やっぱり複雑な動きになると対応できなくて、あとモニターの解像度などで動きが全然違ってくるわけです。これは参ったな…と思いつつ、それでも無理矢理やれないかと試行錯誤してみたものの、不具合で在庫が狂ったりといろいろあって…、これはちょっと無理だなと、感じて断念しました。

その後はしばらく何もしないで、手動で対応していました。ただ、2021年から社内の組織を再編し、役割分担の整備をしていく中で、「リードタイム(注文から出荷までにかかる日数)を短くする」という課題が出てきました。特にAmazonで購入することが多いお客様の場合、"Amazonのリードタイム"を基準として比較することも増えたので、時代の流れ的にも、その課題をクリアする必要が出てきました。そこで改めてシステム導入を再検討することにしました。

私も前回の苦い思いもあり、どうしたものかなと思いましたが、さすがに5年経っているから、機能改善が入ってるかなと思い、また同じところにアプローチしてみました。システムの中には良い所もありましたが、運用体制が全く整っていない。問い合わせても、全く答えてくれなかったり…、サポートをしてもらえないところが多くありました。

佐藤:そんな風に探していた時期に、弊社「助ネコ」にご連絡いただいたのですね。最初に伺ったときは、かなり難しいお話かなと思ったのですが、思い切って社内の会議で提案してみたんです。

平野:そうですね。あのとき本当に佐藤さんから折り返してご連絡いただかなかったら、途方に暮れていました。

佐藤:そうだったのですね(笑)。ご連絡して良かったです!

高いセキュリティ基準も要件の一つ

情報システム部 部長:平野 智士様
情報システム部 部長:平野 智士様

平野:当時、USのアイロボット本社から採用するシステム及び提供ベンダーにはセキュリティアセスメントを行うこととの要求がありましたので、システム探しにセキュリティ要件も加わりました。そんな話もありながら、他社のクラウドERPのOMS(オーダーマネジメントシステム)機能を使えないかな、と思いましたが、使わない機能が8~9割ぐらいあり、しっくり来ませんでした。

私のイメージとしては、サービスを提供してくれる方にも、要望を聞いてもらったり、カスタマイズしてもらえるのが理想でしたが、中々そういった会社が見つかりませんでした。探してみても、なかなかカスタマイズを受け入れてくれるところは無かったです。必要であれば、そちらでやってください、というスタンスが大半なので。なかなかうまくいかないなと思いました。

佐藤:そうだったのですね。実は弊社も原則的にカスタマイズ自体はお受けしないスタンスでした。ただ、アイロボットジャパン様は、助ネコのHPだけでなく、コーポレートサイトまでかなり読みこんでお問い合わせいただいていることがお話していて分かりました。それで、なんとかお答えしたいと思い、助ネコのプレミアムプランでカスタマイズを含めたご提案をさせて頂きました。

木幡:元々私たちは、IT業界では珍しく、『堅実に』『着実に』 という社風で、セキュリティも重視して運営してきましたが、アイロボットジャパン様のUS本社からのアセスメントはさらに上を行くもので、非常にレベルが高く、最初はとても驚きました。しかし、社内で話し合いを持ち、これは自分たちの成長の機会になる、これに応えられるように頑張ろうと。ですので、アイロボットジャパン様との出会いは私たちにとっても、大変ありがたいことだったと思っています。

平野:まだまだ、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)等の、セキュリティの認証を取られている会社はまだまだ少ないです。大半は「プライバシーマークだけは取っているが…、」 という会社がほとんど。それを超える会社は、なかなかありません。あとは、そのUS本社セキュリティ要件をクリアしないといけないという、条件もありましたので。

佐藤:弊社は、ECが発達する前からWAF(Webアプリケーションファイアウォール)を導入をするなど、機能だけでなくあまり光を浴びないセキュリティの部分にも注力してきましたが、実際はセキュリティレベルを気にされている店舗様は、まだ少ない印象です。ですから、アイロボットジャパン様のアメリカ本社から、導入を認めてもらえたときは非常に嬉しかったです。やっと今回、目に止めていただけた、と言いますか。

平野:機能は一番先に差別化できますが、目に見えないセキュリティは、なかなか気づく人が少ないと思います。特にビジネスサイドの人間(業務側)にとってみると効率とセキュリティは、相反するものなので、比重として効率は下げたくないため、セキュリティは、軽んじられていると思います。

佐藤:本当にそう思います。その後、USチームから何かしらの指摘はありましたか?

平野:アクアリーフさんからいただいた設問に対しての答えを見たとき、できる、できない、あるいはできないにしても、なんとかこういう形では、と丁寧に書かれていました。一旦それを提出し、その後も定期的に報告していますが、特に改めて何かの指摘や要求は、今のところありません。これまで試した他社の一元管理システムの中には、返答がなかったり、一応は返ってくるものの、穴だらけだったり、一言だけの会社、中には音信不通になる会社もありました。

もちろん契約前なので無理は言えませんが、それにしても何も返答がないというのは、会社としてどうなのかと私の中で疑問が出てきました。確かにシステムはよかったのですが、サポートや仕事に対する姿勢、「ひと」的なところで不安が多かったです。

佐藤:そういえば、USのセキュリティチームの方々から、弊社の技術者が面談を受ける機会があり、やりとりが英語だったので担当者もかなり必死だったのですが、そのとき平野様から、会社としての姿勢に真摯さがあるか、取引を誠実に行える相手かを見るというお話をいただきました。

平野:はい。そこはUS本社も、ただドライにシステムが良ければというのではなくて、会社や人、仕事に対する姿勢など、そういったところも重視しています。

佐藤:結果的に、あの面談で「Sukenekoチーム」が信用できると思って頂けたわけですね。本当によかったです。

システム導入で一番重視したこと

佐藤:今、何を一番重視されていますか?

平野:昨今eコマース(インターネット上での商品売買)はいっぱいありますし、サービス(アマゾンや楽天等)もたくさんあります。しかし、お客様にはメーカーとしての信頼も必要です。アマゾンさんや楽天さんのような、いわゆる一般的な小売店で買うより、メーカーから直接購入するほうが、本当のもの(品質が良い物)が買えると思われているお客様もかなりいらっしゃいます。そういったお客様の要望は無視できないですし、それならもっとご利用していただきたいと思っています。

各チームで課題は異なりますが、ロジチーム(出荷部門)としては"正確かつ迅速な配送"が大きな課題となり、リードタイムを4.5日から2.7日へ短縮することを目指しています。一番大きかったのが、こちら(受注処理)の自動化ですね。なぜかというと、土日を挟んでしまうと、注文をダウンロードして送るスタッフが、金曜日の5時~6時で業務を終えてしまうからです。

佐藤:そこで一旦ストップしてしまうのですね。

平野:特にゴールデンウィークや長期休暇になると、倉庫の方は対応できますよ、と言ってくれるのですが、弊社の担当者が休みの為、それをダウンロードして物流システムにインポートする作業ができません。

佐藤:年末年始や長期休みを挟むと、1週間ほどかかってしまいますものね。今は、日立物流(※2023年4月1日「ロジスティード」に社名変更)さんとの間で土曜日でも出荷できるようになったので、リードタイムは少し短縮できているのでしょうか?

情報システム部:宮本 雅泰様
情報システム部:宮本 雅泰様

宮本:日付指定も含めて計算していたので、数字的には変わっていませんが、日付指定を除いて計算すれば短縮できていると思います。

佐藤:それは良かったです。ありがとうございます。

木幡:顧客満足度を一番上げるために必要なのは、リードタイムを縮めることとお考えですか?

平野:他にも要素はありますが、私たちのほうで見ていたのは、あくまでもリードタイム。顧客(カスタマー)対応は、また別のチームでありますので、そこで見ていますし、コールセンターでも、顧客対応についてアンケートを取っています。各チーム・部門の観点でお客様の満足度について試行錯誤することは、通販会社では当然のことだと思います。

木幡:私は、1996年から通信販売を自分でやっていた側の人間でした。2005、6年はお客様と心を通わすメール対応が、一番顧客満足度が上がることでしたが、アマゾンさんの影響か、リードタイムが短いことがだんだん主流になってきて、あまりメールも要らないという店舗さんも出てきました。ということは、あの時代とは違って、リードタイムをなるべく短くする方が顧客満足度につながるということなのですね。

平野:私も、2003年以前はテレビ通販の番組にいたのですが、当時のカスタマーケアは、お客様の会話を聞くことでした。コールセンターは、他チームよりも一番良い椅子に座って、業務スペースも一般の従業員よりも良い設備や、休憩スペースだったくらいです。ただ、今おっしゃったようにアマゾンがリードタイムの基準をどんどん変えてきているので、そこに合わせてすぐ変える必要があります。1回どこかでリードタイムが短くなってしまうと、お客様の期待値もそこが基準になります。リードタイムが遅いなら他の店舗で買おう、と離脱されてしまうこともありますしね。

佐藤:業務課題としては、マニュアル作業でやっていたところを、とにかく短くするのが課題でしたでしょうか?

平野:そうですね。スピードタイムもさることながら、今までは注文データのダウンロード、基幹システムへのインポート等、受注作業の随所で”手作業”が必須となっていましたが、それらの手作業を助ネコのオートロボが自動的に処理するようになったので、非常に効率化に繋がっています。

かゆいところに手が届く、画面UI(見た目)と操作性

佐藤:助ネコのシステムの画面や操作性はいかがでしょうか?

宮本:率直な意見を言うと、モダンなUIではないけれども、かゆいところに手が届く、非常によく考えて作られているシステムだな、というのが随所から伝わってきます。モダンでシンプルな路線で、どこに何があるかわからないよりも、この辺りを見ればお目当てのものが見つかる方が、僕はいいのかなと思います。システムとしても、そちらの方が良いですね。

木幡:モダンさも1つのテーマとしてあります。ただ、モダンになると、どこに何があるかわからない、という懸念事項もあるので、今の操作性を保ちながら、モダンの演出とうまく共存できる「新たなUI」も検討していこうと思います。

佐藤:ERP(基幹システム)を使っていた頃と比較して、助ネコ導入後はいかがでしょう?

平野:そうですね。システム側の負荷を下げるために、ERPのときはダウンロードする件数などを絞っていました。そのときはいわゆるクラウドサーバーのようなシステムを、リモートでストック経由して使っている状態でした。ネットワーク的なところに依存して、ダウンロードしていたところがあったのですが、今はオンプレミスベースのシステムなので、そのあたりの不満も解消できたかなと思います。

助ネコ受注管理の便利機能と導入後の成果

佐藤:「オートロボ」(助ネコ受注処理の自動化)の1つに、事前確認が必要なデータ等がある際に、助ネコの設定画面上で自動処理を停止するための「個別条件」を任意で設定できる、という機能があります。お使いになっていかがですか?

宮本:そうですね。自動化を停止する条件を、自分で設定できるようになって、今はネットで設定していただいている、エラーのプロセスなどが条件として入っています。今後どういった運用ができるかを含めて、まだスタディが必要かなと思います。繰り返しになりますが、かゆいところに手が届く機能です。

佐藤:他の店舗様も運用は各社それぞれなので、自由度を高くするためにも、標準装備の機能とさせていただきました。アイロボットジャパン様にとっても今後使えそうという風に言っていただけるのは非常にありがたいところです。

マニュアルオペレーションが自動化されたことによって業務の時間が短縮されたり、他の業務の時間に当てられたりといったことは、実現できましたでしょうか?

平野:そうですね。先ほど申し上げた、ダウンロードしたりインポートしたりというところを今までは外部の会社さんにお願いをしていた比重が多かったのですが、それがなくなりました。ほぼ内製で、購入情報にエラーがあったものだけをチェックする運用になっているので、この業務改善の効果は非常に大きいものがありました。

佐藤:それはなによりです。業務効率アップは非常に嬉しいところですね。

情報システム部:張 立柱様
情報システム部:張 立柱様

張:過去の運用実績では、連休明けに必ず関連スタッフを集めて、作業を再確認する社内ミーティングがありましたが、助ネコを導入した後は、似たようなミーティングがなくなりました。作業効率化面から見ると、非常に助かりました。

佐藤:それは、よかったです。楽天スーパーセールでも、受注件数がすごいですよね。月曜日には弊社も確認をさせていただくのですが、土日と重なった時で、数千~数万件と、伸び率がかなりのようにお見受けしています。

木幡:アマゾンのページや楽天の広告にルンバの露出が増えていますね。ゴールデンタイムにテレビCMも拝見しました。

平野:そうですね。世の中がこのような状況で、グローバルではウクライナ情勢による欧州の経済の不安定などもあり、他国では売上が下がっているのですが、日本はあまりその影響を受けませんでした。例えば、各リージョン(データセンターが存在する独立した地域)の実績は、これまではUKが好調だったのですが、ここ3、4ヶ月で状況が一転し、日本が逆転するような場面もありました。それは嬉しい反面、とても期待されているというプレッシャーもあります。

今後の展望と助ネコへの期待

助ネコが訪問したアイロボットジャパン東京本社オフィス

佐藤:最後は、今後の展望や、助ネコへの期待に関してお聞かせいただければと思います。

平野:ハイレベルなところですと、他のシステムとのAPI連携ですね。機能がもっと拡張されていければいいのかなと思います。それぞれのシステムで対応できないところをカバーする必要が出てくると思います。特にデータ分析やマーケティングツールのところですね。

宮本:今はあまりモールを増やしてというよりは、今新しく課題になっているところの改善がメインかなと思っています。そのあたりは別途ご相談をさせていただきたいなと思っているところです。

佐藤:承知しました。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

佐藤:ちなみに、これはアイロボットジャパン様からのお問い合わせをいただく前からではありますが、サテライトオフィスでもルンバを利用させてもらっています(笑)営業時間前に、業務を止めることなく事務所を綺麗にしてくれるので助かってます。

宮本:ありがとうございます(笑)

佐藤:本日はお忙しい中、お時間いただきましてありがとうございました。

アイロボットジャパン合同会社(英語名:iRobot Japan G.K.)

  • 掃除機がけと水拭き掃除が可能な
    「ルンバ_コンボ j7+」
    (2022年11月11日発売の最新モデル)
  • 世界シェアNo.1 ※1 のロボット掃除機「ルンバ」を展開する、米iRobotの日本法人。日本国内における、ロボット掃除機の販売および保守点検がメイン業務。

    所在地

    東京オフィス:〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-20 錦町トラッドスクエア5F


    ネットショップ一覧

    アイロボット公式オンラインストア
    アイロボット楽天市場店
    Amazonブランドストア店

  • 「ルンバ_コンボ j7+」使用イメージ①

    「ルンバ_コンボ j7+」使用イメージ①

  • 「ルンバ_コンボ j7+」使用イメージ②

    「ルンバ_コンボ j7+」使用イメージ②

  • 「ルンバ_コンボ j7+」使用イメージ③

    「ルンバ_コンボ j7+」使用イメージ③

※1(株)富士経済「グローバル家電市場総調査2022」メーカー別生産台数シェア 2021年実績