導入事例
導入事例

2012/03/09

にんべん 様

  • 食品・飲料

創業元禄12年、310年以上続く「鰹節」の老舗で、屋号である「伊勢屋伊兵衛」の「伊」の字から、「イ」を取って商標にしたところ、江戸の町民たちが「伊勢屋」の代わりに「にんべん」と愛称で呼ぶようになり、それが現在の社名となったということです。

ネット販売歴:
11年6ヶ月(2012年3月インタビュー当時)
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受注管理

今回は、株式会社にんべん様のネット販売部門の責任者の山本様、ご担当の若月様にインタビューをさせていただきました。

INTERVIEW

Q.にんべん様と言えば、今や世界からも高く評価される日本のだし「鰹節」ですが、今ではあたりまえの様にスーパーで売られている「かつおぶしフレッシュパック」も、にんべん様が独自に開発されたものだそうですね。
A.(山本様)はい。昭和44年に 12代伊兵衛(現会長)が、まだ取締役総務部長の時代でした。 鰹節の削りたての美味しさを保つには、削った鰹節を酸素から守る必要があるのですが、丁度この頃に酸素を透過しないフィルムが発売され、試行錯誤の上、商品化が実現しました。
Q.なるほど、酸素を通過させてはいけないのですね。
A.(山本様)はい、酸化は動物性食品の大敵ですので。
そこで、一回で使いきりの容量にしなくては意味がありませんから、3~5gを入れる小さな袋に詰めましたところ、当初社内では発売に反対の声が上がったそうです。
Q.反対の声が、ですか?
A.(山本様)やはり当時は、花カツオ等の大袋の商品が市場に流通されていましたので、それまで見たことが無い小さなサイズに違和感を持つ者が多かったのだと思います。
ただそこで、12代の英断で市場に送り出した、と聞いております。
Q.そうでしたか! それで、今のようにフレッシュパックの鰹節が全国の店頭で販売されるようになったのですね。
A.(山本様)はい、その後は、多くの会社がパック市場に参入してきまして、昭和45年の市場販売額が3億円だったものが、昭和53年には500億円まで急成長しました。
Q.なるほど、興味深いお話ですね。江戸の商人の心意というか、長い激動の日本史の中でご商売を続けてこられた、先を見通す目というのを感じます(笑)。

業界だけでなく、カツオ漁業の経営安定にも貢献したということで天皇杯も受賞され、そうした誰でも知っている鰹節の老舗で、全国に販売網をお持ちのにんべん様が、ネット販売を始めるきっかけは、どのようなものだったのですか?
A.初めて、ネット販売を始めたのは、2000年9月です。
ちょうどそのころバブル崩壊後の影響で、百貨店さんが閉店するということが全国で起こっていたのですね。
そうした中で、全国のご支持いただいているお客様方から「これまでどおり、にんべんの鰹節を買いたいけれど、近くにお店がなくなった」といったお声をいただくようになり、それがきっかけで楽天市場での販売を始めました。
Q.12年前、というと楽天さんが設立されてから間もないころですね。当時はまだまだネットショップが多くなかった時代だと思いますが…。
A.(山本様)ええ、当時、私が直販部門の営業におりましたが、現社長の髙津克幸が営業課長をしておりまして、ネット販売に参入することを決めたようです。
Q.そうでしたか。現社長の決断だったのですね。山本様も立ち上げのメンバーだったのですか?
A.(山本様)いいえ、立ち上げの頃は、社長自ら夜遅くまでWebページを作っていらっしゃったと記憶しています(笑)。
「これからの時代に添うように」ということだったのだろうと思います。
Q.なるほど。その後、Yahooショッピング、自社サイトと販売網を広げていらっしゃいますが、主力商品は?
A.(山本様)主力商品は、やはり「鰹節」と「フレッシュパック」「つゆの素」・・・、それから「鰹節削り器」です。
実は、はっきりと因果関係は分からないのですが、昨年3月11日の東日本大震災以降、「鰹節削り器」がよく出るようになりました。
Q.なるほど。そういえば震災後、昔ながらの乾物は保存がきいて栄養価が高いということでマスコミを通じて再評価されていました。そういったことが関係しているのでしょうか?
A.(山本様)そうかもしれませんね。 それから、最近の食育ブームで、お子様に「本物のだし」の味を教えてあげたいという親御さんのご購入も多くなりました。

(若月様)前回の敬老の日で、「一番おいしいのは削りたての鰹節です」とアピールしたのですが、 おじいちゃん、おばあちゃんに、昔ながらの削り器で削った鰹節を味わってもらいたいと お子さんやお孫さんからプレゼントするという企画が、思った以上にご支持をいただきました(笑)。
Q.本物が見直される時代になったということでしょうね。
A.(山本様)鰹節は空気に触れるとすぐに酸化してしまいますから、削りたてが本当の美味しさなのですね。フレッシュパックも一度に使い切るといいのですが、開封後に保存しておくと酸化して、変色してしまいます。
そうした味に慣れてしまっていると、それが「鰹節」の味と思うようになってしまう…、それが私共としては、残念ですね。
Q.そういえば日本橋の本店で、スタンドバーのようなスタイルで、一杯100円で「だし」をお出ししていますね(笑)。
A.(山本様)はい、日本橋の本店では、削りたての美味しさをみなさんに味わっていただきたいと、あのようにお出ししています。
Q.私もあちらで1杯いただいたのですが、とても味わい深いというか、コーヒーやお茶を飲んだ時とはまた違う、ほっとするような、肩の力がほぐれるリラックス効果がありました(笑)。
「日本のだし」はすごいですね(笑)。
A.(山本様)それはよかったです。よろしければ、本日もぜひ(笑)。

鰹節の製造「日本橋だし場」の鰹節は「本枯鰹節」といって、鰹節製造の最終工程でカビを付けて じっくりと熟成した物を使用しています。
主産地が土佐や薩摩の頃に大坂に集められた鰹節は船で江戸に運ばれていましたが、その道中にカビが生えて困っていたそうです。カビを払ってはまた生えてを繰り返していましたが、或る時カビが繰り返し生えた鰹節が美味しいことに気が付いたのですね。
現在の言葉だと「発酵食品」です。味噌やお酒や納豆・ヨーグルトと同じように、「鰹節カビ」の発酵作用により風味豊かに美味しくなったわけです。
Q.そうなのですか、鰹節は「発酵食品」だったのですね!
A.(山本様)お気づきだと思いますが、原料のカツオは魚ですから、本来油がありますよね。
でも、「だし」に油は浮きません(笑)。
Q.本当ですね! たしかに、油はないですね。つまり、製造の過程で、油を取る…、ということですか?
A.(山本様)そうなんです。カビの発酵作用には、脂肪を分解する働きもあるのです。
Q.なるほど~、勉強になります(笑)。
ところで、ネットの話に戻しますと、にんべん様のネットのお客様の層はどういった方々が多いですか?
A.(山本様)どちらかというと、百貨店でご購入いただくお客様の層が、そのままネットに来ていただいている気がします。
ただ、百貨店と比べると男性のお客様の比率が高いですね。
あくまでもご登録の方の比率ですが。
Q.そうなんですか?
A.(若月様)そうですね。4割くらいは男性ですね。

(山本様)やはり、男性のお客様はお仕事をしていらっしゃると、昼間、百貨店にお立ち寄りいただくことは難しいと思いますが、 ネットですと、いつでも買えますので、夜の時間帯に多くご注文いただいております。
Q.年齢層も、百貨店と同じでしょうか?
A.(山本様)年齢層的には、40代~60代ですね。
Q.けっこうご年配のお客様もご購入されるのですね。
A.(山本様)そうですね、たぶん、一般的なネットショップさんよりご年配の方の比率が高いのではないかと思っています(笑)。

でも、最近は皆様、勉強されていて、インターネットで買ってみたいと思われるご年配のお客様が多くなっていらっしゃいますね。 ですので、ネット環境が違って上手くつながらないといったお問合せもありますし、お電話で購入の仕方をご案内したりすることもありますよ。 それから、普通のネットショップさんではあまりないのかもしれませんが、よくネット注文後に、確認のお電話が入ることもあるんです(笑)。
Q.オンラインで、注文が確定した後に、ということですか?
A.(山本様)ええ、インターネットから買ったので、本当に注文が入ったか確認したい、とか、 熨斗のことや、紙袋のことなど、備考欄に書いたけれども、本当にちゃんと伝わったのか、念のためご確認されたいのですね。

やはり私共は、扱っている商品が鰹節ですし、お客様から他のネットショップ様よりイメージとして「堅い」と思っていただいているのだと思います。 これだけお電話をいただけるのは、当店ならでは…かなと(笑)。
Q.それにしても、百貨店の接客のような対応をお客様は求めていらっしゃって、それにお応えしているんですね。
A.(山本様)私自身が、ネット販売を担当する前は、百貨店でメーカー側の社員として販売の仕事をしておりました。ここにいる若月も、以前、百貨店に在席し二人とも接客を経験しています。

(若月様)はい、ネット販売は接客販売と違い、メールから感情を読み取るのは難しいところもあり、なにもかも百貨店と同じようにというわけにはいかない部分もありますが(笑)、 少しでも、お買い物をスムーズにしていただけるようにご案内やページを工夫したりしていきたいですね。

(山本様)よく購入者の方から、おばあ様の代理で購入したので、先様には送り主としておばあ様のお名前が記載されるようにしてほしいと、そういったお問合せも多いですね。


そういうときに、助ネコさんの「送り主-その他」の機能が助かっています(笑)。
Q.ありがとうございます。お役に立てているようで、うれしいです(笑)。
にんべん様にはご縁をいただいて、現在「助ネコ」をご利用いただいておりますが、
自社システム以外の外部システムを検討されるきっかけはどのようなものでしたか?
A.(若月様)それまでは、送り状も自社システムを介して印刷していたのですが、これがなかなか大変でした。
ネット注文のデータをそのまま入れることができないんですね。それで、手入力で自社システムにデータを入れていたのですが、タイピングに時間がかかって、お歳暮のシーズンなどは、1週間かかって打ち込んでいました(苦笑)。
それで何とかしたいと、何社かシステムを当たってみたんです。
他社さんでは、これはこう使ってください、というシステムでしたが、当社のように冷凍、冷蔵、普通便があったり、贈答品が多かったりという店舗ですと、助ネコさんはシステムに柔軟性があるというのがよかったです。

(山本様)そうですね、やはり助ネコさんは食品業者さんとお付き合いが深いというところで安心しました。
Q.ありがとうございます。助ネコはもともと、お取り寄せグルメ系の食品業者様向けに開発されたオリジナルの受注管理システムをベースにASP化していったものなのですが、やはり、冷凍、冷蔵、贈答品というのは、食品メーカーさんにとって大事な部分ですね。

もちろん、今では食品以外でもいろいろな業種の店舗様にご利用いただいておりますが、丁寧に接客したい、リピーターを増やしたいと思われている店舗様には特に喜んでいただいております(笑)。

ちなみに、助ネコで特にお役に立っている機能がありましたら教えていただきたいのですが?
A.(山本様)すべてです(笑)。
実は私共がネットに本腰を入れだしたのは最近で、特にこの1年は、私共にとって大きな変化があった、激動の年だったのです。
その中でも一番大きかったことが「助ネコシステム」の導入でした。

(若月様)助ネコさんは、使い勝手が、断然いいですね(笑)。
何より、リードタイムが短縮しまして、お客様をお待たせすることがなくなりました。
以前は、タイピングが追いつかず、中1日、2日はあたりまえだったんです。
今では、受注処理の方はすっかりスムーズになり、仕立て現場のほうが伝票に追われて大変だといっているくらいです(笑)。

(山本様)実は、以前はお届け伝票番号をお知らせできていなかったのですね。
ですから、お客様から荷物のお問い合わせもありましたが、今は、お客様がご自身で確認していただけるので、双方に利点があったと思います。
それから、適切なメールテンプレートを自在に増やせたりできることもいいですね。
どうしてもお祝い事などでご注文いただく場合は、情報の不備についてメールでやりとりが必要になるのですが、個々のお客様ごとにコメントをメールに差し込むことが出来たり。
お客様サポート窓口で、紙袋の数や発送日の変更などこまめに連絡がとれて、とても助かっています。
Q.助ネコを導入されて、社内のスタッフさんの中に変化はありましたか?
A.(山本様)助ネコさんのキャラクターは、仕事を助けてくれながら、癒やしもくれるキャラクターですね(笑)。
ほのぼのとした感じで、業務が慌ただしいときなど、あのキャラで癒されるんですが、同じことを他のスタッフも言っていました(笑)。

(若月様)そうですね、私もそう思います(笑)。
それから、全体の作業が短縮され楽になったので、仕事にゆとりができました。
いままでの作業から開放されて、販促などの業務に当たれるようになったのがうれしいですね。
Q.ありがとうございます。そうおっしゃっていただいて、私共もとてもうれしいです。
今後の夢はございますか?
A.(山本様)なによりも、当社のネットの特長を確立させたいですね。

(若月様)はい。今、ネット向けの企画を設計中で、そうしたネット独自のセット商品やトライアル商品など若いターゲット向けの商品を、いろいろ模索しているところなのですが、やはり、ネットだからこそできることもあって、店頭販売やカタログと違ってページの制約がないので、私たちのこだわりやお伝えしたいことを存分に書いて、それをじっくり読んでいただき、楽しんで選んでいただけるようにできたらいいなと思います。

(山本様)そうですね、商品開発や、企画も含めて、若いターゲット層もどんどん掘り起こして行きたいですね。
実はネットショップでは、贈答品だけでなく、ご家庭用のお惣菜など単品買いの比率が結構高いんですね。
昔からご愛顧いただいているお客様ももちろんですが、新しい層のお客様もリピーターになっていただき、その数をどんどん増やして行きたいと思っています(笑)。
Q.なるほど。百貨店で購入できないお客様向けに始まったネット販売が、これから新しい可能性に向かっているのですね。
どうぞ、がんばってください。私たち「助ネコ」も応援させていただきます。
本日は、お忙しい中、長時間のインタビューをありがとうございました。
A.(山本様、若月様)こちらこそ本日は、ご遠方より、ありがとうございました。
よろしければ、こちらをお持ちください。鰹節と同じ発酵食品つながりの納豆のお菓子です。(納豆の和菓子「いろまめほへと」をいただく)

これは、これはありがとうございます! ごちそうになります(笑)。



(インタビュー:2012年03月09日 聞き手:助ネコ事業部)